スは宇宙(スペース)のス

ねこまたぎ

2009年10月26日 08:00



レイ・ブラッドベリのSF短編小説です。無名ですかね。
某漫画でちらっと登場して、探していたのが「RはロケットのR」
だったのですが、これしか見つからない。
けっこう、マニアックな作品には違いないでしょう。

エドガー・アラン・ポーやH・G・ウェルズを父と呼び、暗い
闇の中に潜む恐れと、そこから生み出でる想像力を人の生きる
価値であると語る、闇を崇拝するSF小説家です。

作中の「火の柱」は近い未来、精神的な恐怖や不安が去勢され、
合理的に洗練された世界に過去の死者が一人復活する話。
ミステリーやオカルトの文献・墓場・死体・そして死の観念を
「無駄」として処理していく世界に、今まさに処理されつつある
「恐怖の蘇る死者」がただ一人戦いを挑みます。

「恐怖や不安を捨てて、人間と呼べるのか?」声を張り上げる死者。

危険や問題を徹底して取り除く世界の果てに、待っているのは本当に
模範的で清廉な生き方なのか?
昔アウターゾーンという漫画で、あらゆる漫画が有害として作者や
作品を徹底的に処罰する未来世界の話がありましたが、きっと同じ
ことを言いたかったのではないでしょうか。

「火の柱」は今現在も人が持つべき闇を少しづつ焼き払い続けていないか?
光の下で影を生じないものなど、存在しないも同義ではないのか?

今こそ、考えるべき内容だと思います。

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