2009年06月28日
港署の刑事とか出てこない。
「これはこれは先生、いつもご贔屓に」
「うむ。早速見せてもらうぞ」
その男は卑しい笑みを浮かべながら、手に持っていた
ジュラルミンケースを俺のフェラーリの上に置く。
「コイツを手に入れるのには苦労したんですぜ…」
俺ははやる心を抑えながらそいつに手を掛け、ゆっくりと開く。
中には黒光りする鉄の塊が一つ。
そう、これこそ俺が追い求めていたものだ。
「どうです先生、逸品でしょう?」
「…ああ、見事だな。このフォルム、圧倒的な質量、文句なしだ」
「…そいつを、誰に打ち込むつもりですかい先生?」
「それを聞いてどうする?」
「いえいえ!詮索するつもりは…ただですね、打たれる奴はよほど
恨まれているのだなあと」
…そうだ。あいつが壁として存在する限り俺に未来は無い。
これをあいつにブチ込んで、さっさとあの方に報告しなければ
こちらの身が危ないのだ。明日はわが身だ!
「…しかしこれさえあれば心配ない、あの方に認めていただき、
俺は全てを終わらせる!」
「へへ、まいど!ではお代のほうを…って先生、何故それを私に…
まさか…」
乾いたハンマーの音が、夜の港に鈍く響く。
※写真 シュミットハンマー:コンクリート用の強度測定器
文章とは一切関係ありません。
Posted by ねこまたぎ at 08:00│Comments(0)
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